コラム

柔軟性を習得せよ。メインポケモンで異なる思考のプロセス

 

はじめに

 みなさん、こんにちは。クロスいがらしです。
 最近の対戦は1対1で戦うベーシックバトルと、3体のポケモンで戦うチームバトル、どちらを中心にしていますか?おそらく今は次の大型大会カントートーナメント6に向けて、チームバトルから切り替えベーシックバトルをプレイする方が多いのではないでしょうか。

「チームもよかったけど、主流はベーシックだからね」

 敷居が低いベーシックの方が当然プレイヤー人口も多く、公式大会がなければこちらが主流にはなっていくでしょう。しかし、PJCS2019に向けて取り組んだチームバトルも決して無駄ではないんだよということを私はプレイヤーに伝えたいと思っています。
 そこで今回は今年の公式世界大会のルールが発表から約半年、チームバトルがあったから体験できたあるエピソードをお伝えします。
 チームバトルの経験をベーシックバトルに活かす一つのヒントになると思いますので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

 

メインポケモンで異なる思考のプロセス

 ある日チームバトルのためダークミュウツーとギルガルドの特訓を行っていた私は、カメックスとの対戦に苦戦していました。立ち回りでは有利とされるポケモンであるものの、圧倒的な体力差で簡単に逆転されてしまうためです。
 そこで考えたのがカメックスの技“こうそくスピン”にリスクをつけるというもの。ルカリオであればガード後”ボーンラッシュ”によってほとんどの派生に反撃が確定するこの技は、カメックスが持つ隙の大きい技の一つです。



 しかし、派生の多いこの技に安定して反撃を取るのは至難の業。反応が間に合わず逆にダメージを受けるケースが多発した私は、カメックス使いの強豪プレイヤー“いとう選手”にアドバイスを求めました。

「ガードしたら”バックステップ”をすれば攻撃系の派生に対して見てから最大コンボいけますよ」







 とにかく攻撃技で反撃することしか頭になかった私にはまさに目から鱗。このバックステップという選択肢が一度も思考に出てきませんでした。何故ならバックステップは無派生やジャンプといった攻撃以外の派生択に何もダメージを与えられないからです。
 しかしそんな私の思考を読み取ったのか、いとう選手はこう言いました。

「こうそくスピンはガードしてる側が咎めようと思わなければ“絶対択負けしない”です」

 “勝つ”ことばかりではなく、一歩下がっての“負けない”戦い方。いろんな技に対して反撃を取りやすいルカリオをメインとしていた私だからこその攻めの選択。弾を撃ちつつ、相手の隙が出てから攻勢に出るサーナイトメインだからこそ守りの選択。
 勝利という目的は同じでも、メインポケモンによってそこに至るまでの思考の過程が異なるということ。チームバトルで他のポケモンを動かすことがなければ決して感じることもなかったであろうこの視点はとても大きな学びとなりました。

 私は一部の人からブロック攻撃を通常攻撃で潰すのが上手いと言われるのですが、思えばそれはブロック貫通技の少ないルカリオで行うつかみ攻撃以外での対抗策を考えたからこそ。
 ポケモンによって異なる解決の手段があり、その方法は新しい攻略へのヒントになる。私はそのことをいとう選手から、そしてチームバトルから学んだのでした。

 

おわりに

 いかがだったでしょうか。
 ルールが変われば戦略も変わりますし、ローリスクを取るか、ハイリターンを取るかはポケモンによっても異なるでしょう。今回の記事で一番伝えたかったのは、そういう“いろんな考え方に対する柔軟性”の大切さです。
 同じ人、同じポケモンとばかりではなくいろんな人やポケモンに触れてみること。そこで得られた知見はきっと強さを育てる糧となると思います。
 これまでルカリオ一辺倒のプレイヤーだった自分だからこそ、チームバトルというルールから学べた柔軟性の大切さ。今回はその共有でした。
 次の大型大会に向け、お互い頑張って鍛えましょう!

ABOUT ME
クロスいがらし
ポッ拳プロプレイヤーの1人。パートナーはルカリオ。プレイヤーとしてトップを目指し修行する傍ら、ユーザー大会『カントートーナメント』のスタッフも務める。優勝経験は2対2のチーム戦EVO JAPAN2018と、アメリカで行われたSwitchFest。