今年のPokémon World Championships (以下WCS)が今週末に迫っていますね。ポッ拳に限らず、ポケモンカードゲームや本家ポケモンの競技シーンの最高峰といえる、年に一度のイベントです。WCS2019について詳しく知りたい方はまずこちらをお読みください。
この記事では今年の出場選手達を詳しく紹介しています。選手のプレイスタイルやキャラクターの紹介に関しては、多分に筆者の主観が入っていることを最初にことわっておきます。
昨年度王者:ThankSwalot
使用ポケモン:ジュカイン、エンペルト、ルカリオ
今年から昨年度の王者は自動でWCS本戦への出場権を付与されるということになり、WCS2019が発表された瞬間に権利を得た強者です。昨年度のWCSではジュカインで優勝を決めています。
本戦のチームについて、メインポケモンのジュカイン、サブとして時間をかけて練習したエンペルトはチームに入っているとして、ルカリオの枠は変えてくるかもしれません。
私は対戦したことはないのですが、試合を見ている限り、「相手に楽をさせない」ような攻めや動きが特徴的です。常に攻めてプレッシャーをかけつつ、相手の動きに反応して切り返せる部分はしっかり取ってくるといった印象でした。北米予選ではエルム選手に負けていますが、本戦はどうなるでしょうか。期待が持てます。
ちなみに、ポケモンWCSでは「ポケモンの名前をプレイヤー名に入れられない」というルールがあるので、ThankSwalot(英語版ポケモンのマルノーム)ではなく、Thanksalotという名前で出場するはずです。
オセアニア代表:エルム
使用ポケモン:スイクン、ミュウツー、ダークミュウツー
主な実績などについては、【エルム|格ゲープレイヤーWiki】をご参照ください。
アーケード時代最初期(2015年7月)からのスイクン使いで、戦歴からわかるように今まで絶えずトップ層に名前を残し続けてきたプレイヤーです。ベーシックバトルでは一貫してスイクンだけを使い続けていましたが、オセアニア予選ではスイクン、ミュウツー、ダークミュウツーというチームで優勝し、本戦出場を叶えました。
これまでの大会や野試合でも一貫してミュウツーとダークミュウツーを使っているので、本戦もおそらくこの組み合わせでくるでしょう。
立ち回りとしては、様子見を多めにしつつ勝負所できっちり決めていく堅実なプレイが得意です。試合展開の予測にも長けているため、逆境を跳ね除けて勝利を掴み取るビジョンを常に持っているため、最後まで期待させてくれるという意味で観ていて一番楽しいプレイヤーの一人です。
オセアニア代表:クロスいがらし
使用ポケモン:ルカリオ、ミュウツー、ダークミュウツー
主な実績などについては、【クロスいがらし|格ゲープレイヤーWiki】をご参照ください。
WiiU版(2016年3月)の発売からプレイしているルカリオ使いで、チームバトルの大会が開催されるまではルカリオ一本で戦ってきたプレイヤー。オセアニア予選では、エルム選手と同じく、素の性能(ホーミング格闘や投げの間合い)が高く、扱いやすいダークミュウツーとミュウツーを加えたチームで準優勝し、見事本戦出場の権利を得ました。
Twitterなどを見ているかぎり、上記のポケモンに加えてギルガルドも練習していることから、本戦ではチームを変えてくるかもしれません。また、ここ最近は平日オフで他の強豪とともに修行して、さらに実力を伸ばしているので、本戦でのパフォーマンスは未知数です。
基本の読み合いを踏まえつつも、間合い管理や差し合いに長けていて、フレームだけでは語れない部分の知識や対応力で差をつけている印象があります。試合に勝つためには割り切った選択肢を選んでくることも多く、心構えのできていない相手からすると恐ろしいでしょう。
ヨーロッパ代表:ぽてちん
使用ポケモン:マニューラ、マスクド・ピカチュウ、ミュウツー、シャンデラ、ダークライ
主な実績などについては、【ぽてちん|格ゲープレイヤーWiki】をご参照ください。格ゲープレイヤーWikiには2018年以降の実績は載っていませんが、カントートーナメントをはじめとする大きな大会でも常に好成績を残しています。今回のWCS本戦にはヨーロッパ予選で2位を取ったことにより、出場権を得ています。
アーケード初期からポッ拳をプレイし、複数のポケモンでSランクへ到達した数少ないプレイヤーの一人。2016年には日本のWCS予選の全てで入賞を果たし、本戦で見事優勝して世界王者となりました。
ヨーロッパ予選では、マニューラ、マスクド・ピカチュウ、ミュウツーを中心に使っていた記憶があります。手持ちにはWCS2016で世界王者を勝ち取るのに大活躍したシャンデラなどもありますが、ダークミュウツーが流行っている状況で使ってくるかどうかは怪しいでしょう。
私は今でも彼がマニューラ全一だと思っているので、純粋にWCSで彼の活躍を見るのが楽しみです。
ヨーロッパ代表:たるたろ
使用ポケモン:ゲンガー、シャンデラ、ダークミュウツー
ポッ拳アーケード初期からプレイしているゲンガー使い。お遊びで他のポケモンを使ってアーケードに潜っていたことはあったが、大会ではゲンガー一本で戦い続けてきました。ヨーロッパ予選では、ゲンガー、シャンデラ、ダークミュウツーのチームで3位に入賞し、WCS本戦出場への権利を獲得しました。WCS2018での準優勝、カントートーナメント3での準優勝や、カントートーナメント4での優勝といった実績もあります。
ゲンガーは確定として、他にシャンデラ、ダークミュウツーをはじめとして使ってくるでしょう。私の曖昧な記憶によれば、カイリキーも選んだことがあったはずです。
自称”The greatest Gengar”の通り、ゲンガーの完成度は非常に高く、事情通曰く
「(チームバトルでは)ゲンガー以外の完成度は高くないが、ゲンガー一体に全て持っていかれる」と言われるほどです。おそらく、応援を特殊型にして、ゲンガーで毎ラウンド共鳴バーストを狙う構成で挑んでくるでしょう。本戦出場者の中でも、エルム、ぽてちん、あざぜる、とのさまといった、古来からのアーケード勢は「ゲンガー最強時代」を経験しているため、WiiU版以降から初めたプレイヤーに比べてゲンガー対策のレベルが高いことが予想されます。他のポケモンをどれくらい仕上げられているかに期待しています。
ヨーロッパ代表:Fabilous
使用ポケモン:マスクド・ピカチュウ、ルカリオ、ミュウツー、スイクン
WCS本戦に3度目の出場となるドイツのトッププレイヤーです。ヨーロッパ予選で4位に入賞し、出場権を得ました。
私が2017年に初めて会ったときは、スイクンとマスクド・ピカチュウを使っていましたが、チームバトルではスイクンを使わずに、マスクド・ピカチュウ、ルカリオ、ミュウツーのチームを採用しているようです。チームとしてはバランスは取れていますが、ルカリオとミュウツーの枠を、単体性能がもっと尖ったポケモンに変えてくる可能性は十分にあるでしょう。
私が戦った印象としては、吸収が速く、相手のテクニックなどを瞬時に自分の立ち回りに取り入れられる器用さを持ったプレイヤーでした。話によると、日本やアメリカでの大会の動画などから知識を吸収しているようです。
ヨーロッパ予選の王者であるWingtideが同じくドイツ出身であることから、彼と練習した上で本戦に臨んでくるでしょう。
日本代表:さるたろう
使用ポケモン:ダークミュウツー、ミュウツー、ギルガルド、ジュナイパー
日本予選で圧倒的な強さを見せつけて優勝して出場権を得ました。カントートーナメント5での準優勝、その他3on大会での優勝という実績はもちろん、他のトッププレイヤーからの評価も高く、今日本で一番強いかもしれないプレイヤーです。
チームに入っているダークミュウツー、ミュウツーについては、彼自身長らく使い続けてきた相棒ですので、この完成度に関しては右に出るものはいないでしょう。それに加えて、ギルガルドの立ち回りも仕上がっているため、本戦でも安定した強さを見せてくれるでしょう。
研究され尽くした立ち回りで相手を処理していく動きはまさに「令和のポッ拳」
彼の活躍に期待しましょう。
日本代表:ぽでうむ
使用ポケモン:ガブリアス、カイリキー、ハッサム
日本予選で2位になり、本戦出場を決めました。ちなみに筆者は彼に負けて5位だったので、出場権を得られませんでした。ポッ拳はWiiU版からカイリキーでやっていて、DXからはハッサムを主に使っているプレイヤーです。
ガブリアスを使っているということを戦うまで知らなかったのですが、コンボ精度や固めの精度が高く、純粋なサブキャラというには非常に完成度が高かったです。おそらく本戦でもこのチームで挑んでくるでしょう。
立ち回りについては、純粋に火力が高いポケモンで、綺麗な択で相手を削り切るという戦い方という印象です。純粋に体力の合計値も高く(合計1950、ちなみにたるたろチームは合計1500)、火力勝負という展開になった場合、彼に勝つのは難しいでしょう。それに加えて、「チームバトルで強い共鳴バーストの使い方」のお手本のようなタイミングで共鳴を使ってくるため、油断なりません。
日本代表:あざぜる
使用ポケモン:カイリキー、ジュカイン、ミュウツー、ルカリオ
主な実績などについては、【あざぜる|格ゲープレイヤーWiki】をご参照ください。
日本予選で3位に入賞し、本戦出場の権利を獲得しました。ポッ拳アーケード最初期からトップに君臨する全一カイリキー使いです。最近はポッ拳シーンにあまり顔を出すことはありませんが、その強さは健在でした。
本戦でのチームが読めませんが、カイリキーは確定として、残りのジュカイン、ルカリオ、ミュウツーのうちのどれをチームに入れないかという選択になってくると考えられます。長年愛用しているサポートであるジラーチを強く使えるかどうかという点を考えれば、ミュウツーが抜けそうですが・・・
一昨年、共にWCS2017やFinalBossに行ったときの印象としては、キャラ対策の研究はもちろん、徹底して強い動きを貫く意思力、ミスをしない注意力に加えて、相手の心理を読んで択を通す人間力にも長けており、確実に最強プレイヤーの一人ではありました。ポッ拳に時間を割いていない現在の実力については予想ができません。
日本代表:すぶたん
使用ポケモン:マスクド・ピカチュウ、シャンデラ、ギルガルド、テールナー
日本予選では4位に入賞し、出場権を得ました。もともと、ポッ拳アーケード時代から中堅プレイヤーといった印象でしたが、シャンデラを使い始めて、ポッ拳アーケード初のS3ランクプレイヤーになり、その後はメインポケモンをマスクド・ピカチュウに変えて、引き続き好成績を残しています。先月行われたカントートーナメント6でも優勝しています。
使用チームとしては、メインポケモンのマスクド・ピカチュウは確定として、他に何を使ってくるかは読みにくいです。
ポッ拳の立ち回りに関しては、徹底的にフレームに忠実な立ち回りをしてくる点が印象的です。アーケードのシャンデラ時代から、サポートポケモンの研究と使い方に秀でており、その特徴はチームバトルでも活かされています。今回の大会では、ミミッキュを絡めた連携を世界にお披露目するところを期待しています。
北米代表:Mewtator
使用ポケモン:ミュウツー、ダークミュウツー、ギルガルド
北米予選で1位を取って出場権を得たプレイヤーです。WCSでの実績はありませんが、北米予選では圧倒的な強さで一位を決めたことから、その強さに疑いはありません。
ミュウツー、ダークミュウツー、ギルガルドというチームが「強いポケモンを3匹並べました」といった具合で、単純に強いです。本戦もこのチームでしょう。さるたろう選手とチームが似ているのも面白いですね。
北米代表:ALLISTER
使用ポケモン:スイクン、ミュウツー、マスクド・ピカチュウ
北米予選で3位となり、出場権を得たプレイヤーです。北米の強豪プレイヤーで、常にトップ層に名前を残しています。
スイクンが最初期からのメインポケモンで、たまにミュウツーを使っているのを見てきました。この2体がどちらも先鋒に向かない(1R目に共鳴バーストをしにくい)ため、マスクド・ピカチュウを3匹目として選んだのでしょう。おそらく、本戦もこの組み合わせだと思います。
個人的には、あまり怖さを感じないプレイヤーですが、彼が安定して勝っているという事実から、その強さには疑いは無いでしょう。北米予選では体調が悪かったらしいことから、本戦でのパフォーマンスはどうなるか予想ができません。
北米代表:Shadowcat
使用ポケモン:テールナー、ダークライ、ジュカイン
北米予選で5位となり、出場権を得たプレイヤーです。WiiU版のポッ拳では数少ないS1ランク到達プレイヤーでした。オフライン大会に顔を見せることが少なかったですが、当時から北米最強だと噂されていました。
使用ポケモンは昔からメインとして愛用してきたテールナーに並び、DX発売直後から使い続けているダークライにジュカインを合わせた編成です。どのポケモンも細かいダメージを与えることに長けているので、「ギリギリで1R目で負けた後に、根性補正の入った相手の一体目のポケモンに削られて不利が広がる」といった展開になりにくく、安定したパフォーマンスが期待できそうです。
太平洋を挟んでフレンドリーマッチをしましたが、少しラグがある中でも反応速度が速かったため、オフラインの大会ともなると理論上見てから対応できる技に対してキッチリ反応してきそうな印象がありました。ダークライというポケモンは対策できていない相手に対して無類の強さを誇るので、組み合わせによっては良い成績を残せそうです。
北米代表:とのさま
使用ポケモン:テールナー、ジュナイパー、ダークミュウツー、マスクド・ピカチュウ
主な実績などについては、【殿様|格ゲープレイヤーWiki】をご参照ください。
北米予選で5位ながらも、上位にThankSwalotとエルム選手がいたことから出場権を得ました。ポッ拳においても、最初期からトップに君臨し続け、アーケードではランキングのトップ3が全部とのさまという偉業も成し遂げた伝説のプレイヤー。
ポッ拳アーケードでは、上記のポケモンに加えてマニューラ、ジュカイン、バシャーモなども使っていましたが、今回のチームバトルではテールナー、ジュナイパー、ダークミュウツー、マスクド・ピカチュウからポケモンを選んでくるようです。
プレイスタイルとしては、基本に忠実な守りに加え、相手の虚を突くような攻めで崩していくスタイルが得意に感じます。チームバトル大会では、日本予選も北米予選もあまり成績が奮わなかったですが、WCS本戦では2017年の王者としての矜持を見せてくれるでしょう。
マスターカテゴリについて
今回が4度目のWCSとなりますが、初めての「歴代王者が全て揃ったWCS」になります。ルールがチームバトルということもあって、今まで積み上げてきたものの全てが試される大会と言ってもいいかもしれません。
果たして優勝は誰になるのか。日本、北米それぞれの予選でどちらも圧倒的な実力差を見せつけて優勝したさるたろう、Mewtaterはもちろん、ポッ拳最初期からの多キャラ使いであるぽてちん、とのさま。昨年度王者であるThankSwalot。自称化石、あざぜる。《The Greatest Gengar》たるたろ。はたまた、残り2枠のLCQを勝ち上がってくる強者なのか。全く読めませんね。
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